懐かしい姿のお菓子
「 シベリア」
特に思い出はないのです。
でも、この類いのもの、素通りできません。
「シベリア」
初めまして。かな?
いや、商店街などに古くからあるパン屋さんなどで見かけたような・・・
調べてみたら明治時代から作られてたそうで、ミルクホールという軽食屋さんでのメニューだったとか。
「シベリア」という名前も、ちょっと意味がわからなくて、それもいい。
「ミルクホールで」というのもなかなか興味をそそる。
羊羹をカステラで挟んだ和洋折衷なお菓子。
その時代には、ハイカラな食べ物だったのでしょうね。
この写真の「シベリア」に出会ったのは、実家にいった帰り道です。
最近、留守番させることが多い子どもたちをちょっと喜ばせたくて、また、子どもたちを任せている義母にもちょこっとしたお礼にと思い、和菓子屋でお土産を買うところでした。
くず桜を家族の数だけ買い、代金を支払うところで、この「シベリア」と目が合いました。
「な、なんか懐かしい・・・」
視線を外せないでいると年配の店員さんは「水曜日は特売なんですよ」と私の心にもう一歩踏み込んできました。
通常125円のものが、5個で540円。
今度の週末、主人ともこの懐かしい感じについて話しながら一緒に食べようかな。(彼の中にその感覚があるかはわからないけれど)
子どもたちはどんな反応する?
父は知っているかな・・・などと思いを巡らせていると、後ろから気になる会話が聞こえてきました。
「シベリア買っていこうか?」
たいそう腰のまがったおばあさまとその息子さんという雰囲気のお二人。
おじいさまへのおみやげでしょうか?
どちらかへお使いもの?
それともお年の感じからお仏壇に?(勝手な解釈をして失礼ですね・・・)
私の想像はどうであれ、このご家族の中では定番のお菓子には違いありません。
このお二人がご家族のどなたかと一緒に食べている幸せな光景まで浮かんできます。
結局、この会話に私の心の中は「シベリア」でいっぱいになってしまいました。そして、「シベリア五個入り袋」を握りしめておりました。
家に着いたのは夕方でしたが、私は好奇心を押さえきれず、こっそり一口食べてみました。(他の家族はくず桜がその日のおやつ。こちらは日持ちしませんからね。)
作っているお店にもよると思いますが、こちらのはカステラは甘すぎずとてもやわらかい。はさまれた羊羹は程よい甘さで固すぎず、調和がとれていました。牛乳で食べても合いそうな感じです。なんせ、ミルクホールのメニューですからね。
主人はとくに懐かしさは感じなかったようで、「どら焼きみたいなもんか〜」と私の心をしらけさせるようなコメントをしていました。まあ、いいです。
子どもたちには明治時代からあったんだよ〜というお話をつけてあげました。好奇心一杯、甘いの大好きな彼らはよろこんで食べていました。
父は見たとたん、「ああ、知ってる!」みたいな反応で。
これが一番うれしかったな。
みなさんも、「シベリア」見かけたら買ってみてください。